遺品整理のブログ
■相続放棄とは?自分で行う方法と遺品整理時の3つの注意点
親などが亡くなり、財産を相続することになった人のなかには、相続放棄をしたいと考えている方もいるでしょう。
相続放棄には、時間制限があるうえ、手続きも簡単というわけではないため、早めの準備が求められます。
また、相続放棄をする場合、遺品整理時の重要な注意点もあります。
この点を知らないまま、遺品整理に着手してしまうと、相続放棄ができなくなるケースもあるので注意しましょう。
今回は、相続放棄の手順や、遺品整理に関わる3つの注意点について、説明していきます。
Contents
相続放棄とは、相続人が、被相続人である故人の財産の相続を放棄することです。
相続人には、以下のような、被相続人の財産を相続する権利があります。
これらの正の財産を相続すると、被相続人の負の財産も相続しなければなりません。
例えば、被相続人に借金がある場合、借金も引き継がなければならないのです。
しかし、相続人には、相続する権利のほかに、相続を放棄する権利もあります。
相続放棄をすれば、正の財産を相続できないかわりに、負の財産も相続せずに済みます。
正の財産より、負の財産のほうが多いという場合に、相続放棄は有効です。
相続放棄をするには、家庭裁判所に対して、相続を放棄する旨を申し出る必要があります。
これには期限があり、以下のいずれかから3カ月以内となっています。
この期間を過ぎると、相続放棄ができなくなるので注意しましょう。
家庭裁判所に相続放棄の申し出をするには、以下の手順を踏みます。
ここでは、各手順について、説明していきます。
まずは、相続放棄に必要な、以下の書類を用意します。
「相続放棄陳述書」は、以下のフォーマットを印刷し、以下の記入例を参考にして、記入できます。
参照:https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file1/10m-souzokuhouki.pdf
参照:https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file3/7427souzokuhouki-seizin.pdf
参照:https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file3/7428souzokuhouki-miseinen.pdf
戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場で取得できます。
直接出向くほか、郵送してもらうことも可能です。
必要書類が揃ったら、故人の住所地を管轄する家庭裁判所に出向き、書類を提出して、相続放棄の申し出をしましょう。
裁判所のホームページの「裁判所の管轄区域」から、管轄する家庭裁判所がどこなのかを調べられます。
参照:https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html
家庭裁判所に相続放棄を申し出ると、その10日ほど後に「照会書」という書類が郵送されてきます。
照会書には質問が書かれているので、その回答を記入して、家庭裁判所に返送しましょう。
相続放棄が無事認められれば、照会書を返送して1週間~10日程度で、「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
この通知書が届いた時点で、相続放棄は完了です。
親族が亡くなれば、遺品整理が必要ですが、相続放棄をする場合、以下3つの注意点があります。
ここでは、それぞれの注意点について、説明していきましょう。
基本的に、相続放棄をするのなら、故人の遺品整理はしないようにしましょう。
なぜなら、故人の家財を処分してしまうと、相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなるケースがあるからです。
民法第921条には、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき、単純承認をしたものとみなす」とあります。
つまり、遺品整理で財産を一部でも処分してしまえば、相続を単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなってしまうのです。
ここで言う「財産」とは、金銭的な価値のある、すべての物を指します。
そのため、誰が見ても明らかなゴミなど、金銭的な価値のないものであれば、処分しても問題ありません。
相続を放棄しても、故人の親族には、民法第940条によって、「他の相続人が管理を始められるようになるまで、相続財産を管理すること」が義務付けられています。
他に相続人がいなければ、遺品を管理し続けなければなりませんが、相続放棄をする以上、遺品整理はできません。
この場合に必要なのが、相続人のいない相続財産を管理する「相続財産管理人」の選任です。
相続財産管理人を選任すれば、その人に遺品の管理と整理を任せられます。
ただし、この選任には、20万~100万円の予納金が必要です。
遺品整理にかかる費用は、この予納金から支払われます。
つまり、他に相続人がいなければ、相続放棄をしても、故人の遺品整理の費用負担は避けられないのです。
相続放棄をする場合でも、遺品整理が必要なケースもあります。
代表的なのが、被相続人が孤独死して、時間が経っているケースです。
遺体は、時間が経てば経つほど腐乱が進み、悪臭を放ちます。
このような状態で、近隣住民から苦情が来ている場合は、相続放棄をする場合でも、早急に遺品整理や特殊清掃をする必要があります。
相続放棄は、正の財産を相続しないかわりに、負の財産も相続しなくて済むという制度です。
連帯保証人になっていなければ、借金を引き継ぐ必要はないため、故人に借金があるという場合に有効です。
とはいえ、故人に借金があっても、正の財産のほうが多ければ、相続放棄をすることで損をしてしまいます。
相続放棄をするかどうかは、故人の正の財産と負の財産、両方を調査したうえで決めるようにしましょう。
また、遺品整理をして、財産を処分すると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなってしまいます。
少しでも、相続放棄をする可能性があるのなら、遺品整理には着手しないほうが賢明です。